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試奏したベースのインプレッション

MTD 535 LightWave Fretless 5st

カニカニベースでバーチーズ千葉さんからMTDお借りしました。初めてのカニカニベースが千葉さんきっかけであったし、またその時お借りしたのもMTDでしたので感慨深いところであります。

エボニー指板のフレットレス、アヴォディールボディ、メイプルネック。MTDらしく全て1pc仕立て。さすがの~。でも最大の特徴はPUで赤外線で弦振動を拾うライトウェーブとピエゾのブレンドです。一見飛び道具に見えるものをMTDならどう料理するか。振り回されずしっかりと自分のテイストに落とし込んでありました。

アヴォディールというボディ材はアフリカン・マホガニー? アッシュに対するスワンプアッシュみたいな、軽いマホガニーといったように感じます。音の密度もエッジもゆるゆる。軽くて柔らかい材のイメージそのまんまです。軽いベースなのでそのジャンルの弾き心地、取り回しも含めてフレーズと体の姿勢の間に抵抗が少ない。うちのLAKLANDも同じジャンルだけど、得意な方面の音があるからね。全然悪くないです。でスワンプアッシュよりフルボディテイスト。

エボニー指板含めたネックが強く靭やかで素晴らしいので、サステインも長いし、反応も早く表現豊か。それがLightWaveの性格と相乗効果がある感じ。トマスティックのフラット弦を張ってありますが、LightWaveという機構ならナイロンテープ弦も特徴をもっと出せるだろうし、ガット弦もそう。磁力に影響しないからね。それでピエゾより脚色がないと思われるところがバラスーシ。

2つのPUの混ぜ具合で音作り、となるわけですがピエゾ単体では出力できず最大でLightWaveと割り勘。この50:50セッティングでも生きる楽曲が全然ある。ロブアレンみたいなピエゾっぽい音も出せますし、EUB方向のウッドベースな感じも出せる。指板上でピッキングするとまさにそれな感じ。LightWave搭載機を弾くのは当然今回が初めてですが、すごく素直に拾ってくれる印象です。

LightWaveの音自体はビチっとしたピエゾの音とは異なり自然な音。ベース、ミドルのプリアンプはまあ使わないかなあ。プリセットトーンがゴールで、あとは指でかなり変化をつけられるので不満がないです。加えてフレットレスでしょ? 表現力が高い。

何というか、Piezoを良い感じにしたい時にHiを落としたりLowを調整したりしますが、何もしなくてもいいバランス(これはプリアンプのせいなんだろうか?)。千葉さんのレクチャー通り、ピエゾはhigh EQとして使う方が感覚としてしっくり来る。

ぴったり来る楽曲はJamiroquaiのcanned heat, King crimson dinosaurなど。もともとフレットレスの楽曲はもちろんだけど、シンセベースのような音色をカバーできるのね。あと歪んではいないがバズが歪みっぽさのかわりに。Blue Murderのriotなんかハーモニクスとグリス、ビブラートを適当にやってもそれっぽくなって最高、こりゃ元々フレッテドベースではコピーできないはずだわ。

フレットレスそのものの話になっちゃうんだけど、普段弾いてる曲をフレッテッドと同じ感覚で弾くと、いかに弾きすぎているかがよくわかります。もっとリラックスして、でもトーンには集中して弾くとトーンもフレーズもフレットレス効果もあってずっと良くなるし、ハーモニクスやグリス、ビブラートを入れるように重心が傾く。するとカラフルでより自由な演奏をできる感じになって。違うことをやりたくなるので引き出しが増え、単純にベースが上手くなります。『楽器が自分を高めてくれる』がしたいために当たりを引きたくて高い楽器を買うわけでしょ。そういう楽器を所有できることはプライスレスですね。

クノーレンが上手く弾けないこと、IGS audioのオプトコンプが用途にはまらずチャレンジしたいこと。全て自分の弾きすぎを是正したいことに繋がっている気がする。今後の課題が一つ見えたんだけど、普段弾いてる曲はほっとんど白玉がないんだわ(笑)。Brand XBabooshkaに取り組むタイミングなのか?フレットレスだからとコピーしてない好きな曲なんて山ほどあるぞ。

(2023/07/13更新)