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試奏したベースのインプレッション

Nordstrand NJ5-Deluxe

捧さんより、「カニカニベース」。いつもいつもいつもアリガトウゴザイマス。Nordstrand NJ5-Deluxeをお借りしました。Nordstrandといえば現在はピックアップメーカーとしての知名度が主ですが、それ以前はベースブランドを本格的に展開していました。かつて巌さんのブログで「丁寧な作りが素晴らしいが、採算度外視でこだわりすぎている。ビジネスになるのか?」と評されていた記述が記憶に残っています。

現在はPU販売がメインで、たまに少し「外した(ユニークな)」ベースをスポット生産している印象もありますが、今回お借りしたのは2003年製。Carey Nordstrand氏が工房を立ち上げた初年度にあたる、まさにブランドとしてベース製作に心血を注いでいたと思われる時代の個体です。

スペックはアルダーボディのバックにキルトメイプルトップ、メイプル3Pネック、ローズウッド指板という構成。ピックアップはもちろんNordstrandオリジナルで、プリアンプにはAguilar OBP-3が搭載されています。

弾いてみると、鳴りが少しダルい「フェンダーっぽい」フィールを感じました。弦高を下げたセッティングの影響もあるかもしれませんが、アルダー特有のサウンドそのもので、キレを求めるとどうしてもプリアンプに頼る必要が出てきます。このダルさは昔弾いたModulusを思い出させて、改めて「アルダーという木材の個性」を認識させられました。Modulusはそのダルさをバキバキの硬質なネックでバランスを取り、私の所有するZ2などはアッシュとのハイブリッドボディにすることでモダンに昇華しているのだと気付かされます。アルダーっつーのは伝統を隠れ蓑にして気が付きづらいけど実はかなり癖のある木材で、Ken Smithが採用しない理由もわかるわ。他の材と混ぜる分にはま、ま、ま、良いですが、こと単品での活用は昔方向に用途が決まってきてしまうのかもしれません。

JJ配列にローズ指板というスペックからも、やはり狙いはトラッドなフェンダーの方向性なのでしょう。であれば戦略的に緩いMike Lull、タッチが浅い軽いなSandberg、自然なSugiのNBのように、もっとレンジが広く反応が良い楽器の方が好みではあります。アルダーの低音和音は、定説通りやはり少し濁る傾向がありますね。

ところが、弾いているうちに弦の揺らし方が掴めてきたのか、あるいは楽器自体が鳴り始めたのか、非常に素直な反応を見せるようになりました。これまで自分の中にあった「アルダーベースのイメージ」のシナプスが、バババッと一気に繋がった感覚です。 製作者のCarey氏は元フェンダーのビルダーで、「ジャズベ、プレベ、スティングレイの音も完全再生できるよ!」と語っていたそうです。Nordstrandなりのフェンダーリスペクトが詰まった楽器なのでしょう。フェンダーに詳しい方が弾けば、よりそのゴールが明確に見えるのかもしれません。

一つ気になったのは、B弦の出力の弱さです。弾き始めてすぐ「あれっ?」と思い、PUの仕様なのかセッティングなのか悩み、弦交換まで試みましたが音量バランスはあまり変わりませんでした。サドルから弦への角度(曲がり)がキツイ影響かとも疑いましたが、ドライバーでポールピース位置を叩いて確認(タップテスト)をしたところ、B弦外側の感度、ポールピースの磁界が本来あるべき場所にない?あえてそういう調整をしたPUなのか、確信は持てませんが少し謎が残りました。E弦と同じ感覚で弦を弾ける(音量が同じ)のですが、それは普通ではない。そういう弾き方ではない調教をされてきた人間なので違和感が拭えません。

総評として、非常に軽量でスタジオでの鳴りは素晴らしく、アンプを含めたバンドアンサンブルや通常のシステムの中では音色の居場所があり、弾いていて楽しい楽器です。一方で、私が普段行っているライン直・ヘッドホン環境だとその魅力が出しづらく、悩まされました。良い時はすごく良いが、無理がなかなか通らないタイプ。頑張って弾き込みましたが、ハマらない時は竿の調整だけではどうにもできない「好みではないフェンダー要素」という壁を感じたのも事実です。

(2026/02/05更新)