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vari tonestyler

20年ぶりにパッシブのベースを持ったわけですけど、DingwallのFacebookページにもあるようにコイルタップとPUセレクターにtoneを組み合わせればいろんな音が出るベースです。ただアクティブみたいな低音をブーストするようなことは出来ないので、倍音の出方を変えて高音をどれくらい落とすか、それに伴っての中域のピークを作るようなバリエーションになります。

これだけでもかなり遊べて十分なんだけど、トーンはstellartoneのtone stylerというもの試したいとずーっと思っていました。試奏ではストンプタイプのものを昔試したことはあるんだけど、感想はリンク先の通りで使いこなせなかったんですよね(笑)。

通常のtoneとは違って予めプリセットされたtone potです。回すほどにダークになっていくんだけど、個別のコンデンサーを通り音楽的でかなりカラフルな出音になります。レコーディング機材みたいにカチカチ回って、そのセッティングで音的にベストなパーツ選定している感じです。

どうもこういうものってその昔はあったみたいで、ベースでもアリアプロとかで見た気がしますね(確認したらちょっと違った SB-1000B)。決まった音色になるのとパッシブということから、現場では使いづらい機構であると推測されます。それは廃れていくよね。

これを自作している人もいるので原理は単純ですが、手間かけたくないというマニアにはあるまじき態度でポン付けを選びました(笑)。

有用性が確認できな状態でそんな手間かけられないし、そういう場合大体先行している商品を買ったほうが良い結果が得られるよ。

どれにしよっかな~とサイトを見てみると目的のトーンスタイラー以外にも掲載されていて、ミッドカットのvari tone stylerという新製品があるらしいことを知りました。Z2はスティングレー系統のモデルだし、ドンシャリ方向の音が出るなら 使ってみたいよね。これにしよう、ということでオフィシャルサイトからパーツを取り寄せます。

そもそもバリトン? バラエティのあるトーン? 由来を調べるとギターの話だったみたいです。大変勉強になります。ドンシャリではなくノッチですね。

Z2はPUが2個載ってはいるけど、この2つのピックアップのシリパラシングルを切り替えているだけで(なおPU自体もシリーズ・パラレルできる)実質一つのピックアップとして動かしているでしょ? だからその部分以外はボリュームとトーンなのでプレベと同じ配線図になるのではないかと判断して”Vari-ToneStyler kit: Model VTS-B-PUSH” でオーダーかけました。

お試しでプッシュプッシュノブにしてみましたが、到着した一式を広瀬さんにそのまま送って付けてもらったらプッシュプルで仕上がってきちゃった。パーツが両方入っていたみたい(笑)。言っていなかったしミスったね。

さてこの変更に伴い、Dingwall内部の配線が変更されボリュームポットとトーンポットが交換になりました。Vol potは軽くなりすぎだけどtone stylerのクリック感は大変よろしいです。隣のDingwall標準PUセレクターは耐久性がありそうな硬さですが、こちらは気持ちの良い感触。なお配線変更によりPUセレクターの基盤が外されています。

そして謳い文句通りposition 1のバイパス音は変更前よりずっとダイレクトな音質になりました。高級パーツは違うね~(笑)。いやホントに「薄皮一枚取れたような」というよくある表現がピッタリな変化で上の帯域が出ています。これだけでも変更したかいがあります。

続いて各モードの確認をしていきましょう。まずはtone stylerから。position 2~position 6までが該当しますが、評判通りのtoneの殺し方。良いですね。特に2~4は超使える。落ちるハイの手前の帯域に山があるので出力としては上がったように聞こえます。人間が聞くのが得意な帯域にかけているのでしょうね。驚くほどキャラクターが変わりしかも使える! 5と6は絞りきったトーンですがハイポジのソロに合わせるなど捨て音にはならないです。

そしてピックアップの設定で相性もあります。プロモを見てもプレシジョンベースばかりだったところから推測していましたが、リアPUよりフロントPUの方が変化しますね。このパーツがより効くのは前目のPUの様です。ワタシのZ2はPUセレクターが4つのポジションを選択できるのですが、これにシリパラを加えて12通りのルーティングがあります。これにノーマルとvariモードで120通り+バイパス音で121のセッティングということで計算あっているかな? なかなか試しがいがあるでしょ。これで1年位は遊べそうです。

難しいというか楽しいのは、ここに来てパッシブというのが生きてくるのですが、シリパラでtoneの効きが変わるっぽくて、バイパス時に認識していたようにローミッドを膨らませて押し出し感を出そうみたいにやろうとすると、イメージとは違ってハイもミドルも聴こえ方が異なります。変化が単純じゃない。あれか、あいつか、妖怪インピーダンスか。

次にvari mode。ノーマルモードとは逆にボリュームが落ちます。こちらも同じくPUの選択でそれぞれに音が変わるので、耳を頼りに探っていく感じです。position 2はスッキリ、position 3はノッチの効果がより強い。position 4はボトム感が出てposition 5はそれの強化版。position 6はガラッと変わってラジオサウンド風です。なかなか繊細な感じだけど実際使えるのか?

実は効果はスタジオでより感じられます。特にアンペグ10インチ8発みたいなアンプで弾いたとき、このモードが役立ちます。ラインで聞くよりハッキリと効き、原音をかなり変えてしまうアンプの癖をコントロールする感じです。基本の音作りをアンプでした後の補正という使い方が良かったです。これがEQでは出来ないような補正の仕方で、ましてや一発でプリセット変更できるので仕事が早い。キャビのシミュレーターみたいなイメージです。

tone styllerのノーマルモードはキャラクターの変化を楽しむものですが、こちらのvariモードは照明の当て方でモデルの印象を変えるような働き。唐辛子と化学調味料ですね。音を聞かないとさっぱりイメージできないと思うんですが(笑)。

(2019/12/27更新 2020/01/08追記)