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試奏したベースのインプレッション

Fullertone Guitars Pro-Baganda 60 Rusted Matching Head Fiesta Red

今回インプレッションを書くのは、Twitterで繋がりのある はやしきぶ @hayashikibuさんからお借りしたFullertoneの4弦フレットレスベースです。元々はフレッテッドのプレベタイプだったものを、後からフレットを抜いて加工したとのこと。たりきくんのセットアップになってるそうで、うちのTUNEと共通するところあるかな?

アルダーボディ、ローズウッド指板のメイプル1Pネック、フレットレス、リンディPUのパッシブプレベ。

ここまで本格的なハードレリックが施されたベースを弾くのは初めてだったのですが、最初からオールド楽器のような風格で、なんだか気分が乗ってくるのを感じます。こういう楽器のルックスが与えてくれるモチベーションというものは馬鹿にならないものなんですね。

弦はSadowskyのフラットワウンドが張られていました。これは既にディスコン(生産終了)となっているもので、持ち主のはやしきぶさんからも「気に入っているのでできれば交換しないでほしい」とのオーダーがありました。そもそもフレットレスベースという楽器は、長年張りっぱなしにした古い弦からこそ「とても良いダシ」が取れるものというそ考えなので、弦はそのままの状態で弾いてみます。

自宅ではあまり弾き込まず、さっそくスタジオへ持ち込んで鳴らしてみました。同時に持ち込んでいたDingwallのZ2(6弦)との比較も非常に楽しいスタジオワークになったのですが、弾き始めてまず驚いたのがその「軽さ」です。ボディはもちろんのことネックまで非常に軽く、ストラップを使わなくてもボディバランス良好でした。ネックのシェイプ自体はかなり太めのタイプで、もしこれがフレットを抜く前の状態だったら、相当ボリューム感のある握り心地だっただろうなと想像できます。プレベプレベしたネックですわ。

コントロールは1 Volume, 1 Tone。実際に音を出してみると、ピックアップの出力が思いのほか大きいことが印象的でした。軽い楽器特有の軽快な鳴り方をしつつも、プレイヤーのタッチにはとても素直に反応してくれます。スタジオのアンプから出した際、2弦と3弦の出力が大きく、逆に1弦と4弦が小さく感じられました。ベースアンプの手前でコンプレッサーや歪ませて出力を整えてあげるような音作りにした方が、より気持ちよく弾けた? 自宅のヘッドホン環境でモニターした際にはこのバラつきが全く気にならなかったので、アンプや部屋の問題だったかなあ。

私はBrand X期のPercy Jonesがとても好きで、当時はプレベのフレットレスを持ってるジャケが記憶に残っており真似してみると、やはりあの独特のニュアンスがしっかりと出てくれます。音色というのは、他のタイプのベースではどう足掻いても絶対に届かない領域の話で、だからこそ「いろいろなキャラクターのベースを手元に持っておきたい」という機材欲に対して説得力が生まれてしまうんですよね。

私自身、本来は「汎用性がある機材」に惹かれる傾向があります。その観点からすると、フレットレスベースという楽器は、どうしても活躍できる範囲が限られてきますこのベースが真価を発揮するのは、ゆったりとした白玉(全音符)で音色そのものを深く味わったり、70年代や80年代のポップスのような、少し懐かしい時代の音楽をプレイしたりする時です。そういったアプローチであれば、本当に驚くほど楽に、気持ちよく演奏することができます。はやしきぶさんも荒井由実やインストでご使用になっていたとのこと。さらに言えば、この楽器は「フェンダー属」に分類されるベースであり、フェンダーが多用されていた時代の音楽とはやはり抜群の相性を誇ります。私も大仏さんの弾くMake-up Shadowで。

しかしモダンな音楽や少し違うイメージの楽曲に音を寄せていこうとすると難しい~。音色の幅が狭く、ある意味で非常に尖っているため、「ここぞ」というポイント以外にはなかなか刺さりづらい不器用さがあるのも事実です。悪いけどサンズみたいな外付けプリアンプを時代に合わせていちいち踏んでられないのよ。けれど裏を返せばこのベースから放たれる音がそのまま「自分の声」として合致するプレイヤーにとっては、これ以上ないほど素晴らしい、一生の相棒になるのだろうなと確信させてくれる。

フェンダー系に限らず、各メーカーから「名器」と呼ばれるフレットレスベースは数多く世に出ています。ただ、私のこれまでの経験上、「悪いフレットレス」というものにはなかなかお目にかかったことがありません。フレット付きの楽器に比べて、フレットレスは楽器自体の粗が目立ちにくいというか、プレイヤーの指先やタッチで補完できる幅が非常に広いのです。決して細かいパッセージが弾きづらいわけではないのですが、そこを求めるなら「もっと得意なベースが他にあるな」と感じてしまうのです。そして、その「指先で補う」という行為自体が、結果的にその人だけの良いトーンを生み、オリジナリティへと繋がっていく。だからこそ、私にとってフレットレスは「これはダメだったな」という感想を抱きにくい楽器なのだと思います。

逆に言えば、どんなに高価な楽器であれ安価な楽器であれ、フレットレスという楽器は「プレイヤー自身が背負う音色への責任の割合」が、フレッテッドよりも遥かに大きいということなのでしょう。弾き手の腕や表現力次第でどうにでもなってしまうからこそ、極論を言えば「結局、どれを選んでもプレイヤー次第じゃないか」という身も蓋もない結論に行き着いてしまう。

そしてエレキベースの歴史において、フェンダーは最もフォロワーが多いジャンルであり、それこそ選択肢は星の数ほどある中で、各メーカーはオリジナルのフェンダーが持つ魅力をさらに高めたり、あるいは弱点を補ったりと、それぞれのアプローチで「フェンダーのその先」を作ろうとしているのでしょう。じゃあこのフラートーンというメーカーはどういうコンセプトだった? バーチーズの商品紹介のような俯瞰された解説がほしいところだね(笑)。


よくある表現を使うなら「いなたい」、それの塊みたいな音ですね。

プレベのフォーマットの中でも色々できるんだろうけど、このベースは狙いを一点に絞っているところが、特定用途での完成度やコスパの高さに直結してます。

フィルをこんだけ入れても許されるのは音色なんじゃない? フェンダー免罪符!

(2026/09/20更新)