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試奏したベースのインプレッション

Spector NS-2 preKramer

私生活の変化で数年は続く予定のカニカニベースのインプレです。賛同してくれる方の存在がマジありがてえ!

今回は長年仲良くさせていただいておりますcycoさんに、コンプマスターとして有名ですがスペクターも、なにか会的なことやるくらいマスターだったよな…?と言うことを思い出しこちらからお話を申し出て快諾していただきました(笑)。

(2019/08/07更新)


それでは補足インプレしていきましょう。スペックはメイプルネック、ローズウッド指板、メイプルボディ。PUがEMGのPJでプリアンプはHAZ Lab。

ツイートにもあるようにcycoさんから取扱説明書をいただいています。サイトも閉じられてから久々に読むcycoさんの文章、いやー良いもんですよ(笑)。転載OKいただいたのでご確認いただければと思います。資料保存の意味も込めてそのままです。

解説

私の理想のルックス、すなわちプリクレーマーでクラウンインレイで白です。この仕様はSynchronicity の頃のSTING、BBQ BANDの人、CULTURE CLUBの人、等がイメージ。85年製はプリクレ最晩年です。プリクレNS-2の最終シリアルは1007ですから。

他のSpectorのボディに比べるとなぜかボディが太めです。ヤスリがけが削り足りない印象です。そして塗装が厚塗り。これでリフィニッシュではなくオリジナルです。研磨も足りない印象です。恐らくこの時期はクレーマーへの売却予定もほぼ決まっていて先が見えている運営ですから職人の作業の質になんらかの影響を及ぼしたのかもしれません。

ネックは幅広で頑丈。今のSpectorみたいにカーボン補強入っていないので薄めです。指板は色の薄いローズウッド。塗装をしてあるかのようなつやつやの表面ですが無塗装です。指板の側面のクリア塗装はすっかり剥がれ落ちています。

Spector仲間の多くはこのベースを持つと「激重!」と言います。メイプルボディの重いやつは本当に重いと言われるアレです。ですが私自身は運搬時とケースの出し入れ時ぐらいしか重いと感じません。ストラップで背負うとあまり重さが気にならないのはまさにエルゴノミクスデザインの賜物なのだと思います。

リペア箇所

入手時はノンリペアのフルオリでしたが、私の張る弦ではナットが低すぎたのでメイプル薄板を履かせて対処し、フレットファイリングもしました(ラムトリック竹田氏に依頼)。

サウンド

Spectorの音は一概に「ズンビン」と形容されます。剛性と質量で固めて、弦振動ばかりを拾うタイプ。当個体の場合ボディが重くそこにテーパー弦を合わせていますので木鳴りが収まって「ズンビン」するにはするものの、ピークやムラがなく全体によく締まって整った出音になっています。 基本的にコンプの要らない…というかまるでノーマライズ後?のような、サンプリング音源みたいな印象。ちゃんとしたアンプとキャビを使い大音量でCDなどをバックに合わせるとその音源に入っているかのような錯覚を味わえることもしばしばあります。

愛してる楽器の思い入れをうかがうのは楽しいですよね~。

年代なりのお疲れ具合は各所に感じるも、顔のシワ一本一本まで愛着があってのオールドでしょうから私がこれから言うことはただの難癖ね(笑)。こんなことはcycoさんも百も承知のことと思いますが、消耗品関係はどうしても気になる。ペグ、各ポット、ジャック、エンドピンを新品に変えたらかなりシャキッと生まれ変わる気がします。キャラクターにはあまり影響せず新品当時の方向に戻るんでは?

サウンドは往年なんだけど、こういう音のジャンルってかなりの曲数あるから全然現役で使っていける。一番得意なことだけさせておいて、苦手なジャンルは他のベースに任せればよかろうなので、ほかはオリジナル仕様に敬意を払うが正義。

しかしここまでデッドな鳴りのベースはあまりじっくり触ったことがなくて、とても楽しんで試奏させていただきました。ワタシはオープンサウンドが好きだけどこれはこれで悪くないのね(笑)。6弦を弾き始めたから嗜好に幅ができたのかしら? 勘違いしないでほしいのは鳴っていない楽器って訳じゃなくて、鳴りがデッドなんですわ(原因は塗膜厚説)。ナチュラルコンプでスラップが音楽の邪魔にならない反面、快楽度は落ちます。

レイアウトはPJでもプレベやジャズベの音を狙ったものではないでしょうね。外見では若干寄せつつ借りた衣をまとっているだけでしょう。これがどの程度コンサバ層に響いてセールスに寄与したか、80年の状況はよく知りません。

あと全体的に洗練されていないのが意外でした。今のスペクターは機械も入って製品精度が上がっているだろうと思うけど、この個体はエイヤッと作っている感じが時代をまた感じさせてくれました。粗さは適当さって意味じゃなくて、ハードウェアも音もベストと思った状態がいくつか場所によってある、それをうまく統合できていない感じ。色々なアイデアのジョイント部が慣らされていない感じ。コンセプトの消化と反映にある程度時間が必要だったんでしょうね。バキシムだ。

(2019/8/27更新)


cycoさんのSynchronicity の頃のSTING、BBQ BANDの人、CULTURE CLUBの人、ワタシは全部通っていない(笑)。

なのでスペクターと言えばもっぱらメタル系になります。

このベースが死んでるジャンルでもラインが聴こえる楽器として認知しています。Sadowskyと2択。

青春の一枚QueensrycheのOperation: Mindcrimeですが、刻みの音が脳に染み渡る。締まった音が最高なのよね。

もう一曲はやっぱりかわいしのぶさんかねえ。ドラム上手すぎなのでそちらに耳を奪われがちですが、ベースも最高。音楽全部が素晴らしい。。。

(2019/09/03更新)